- HOME
- »
- 学部の取り組み
- »
- 採択プロジェクト関連
- »
- 現代GP:「自分探し」のキャリア形成
現代GP:「自分探し」のキャリア形成
平成19年度文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム
技術者の実践対応力育成カリキュラムの開発
プロジェクト特設サイトはこちら
取組概要
本取組は、大学教育センター・情報学部・工学部の共同の取組であり、部局横断的に浜松キャンパスの技術者教育の質の向上を目指すものです。本取組の目的は、技術者の実践対応力という観点から技術者教育を捉え直し、非技術系周辺知識の獲得を目指した科目群の作成によりカリキュラム強化を図るものです。そのために、下記のことを実現していきます。
ICTを利用した非技術系周辺知識科目群の授業パッケージの開発
ICTを利用した新しい授業形態と教材を提案し、インストラクショナル・デザインの手法を用いて改善を図ります。
インストラクショナル・デザイン=FD活動
学内の教員がインストラクショナル・デザインに広く関与することで、自らの授業実践の向上を図ります。
1. ICTを利用した非技術系周辺知識科目群の授業パッケージの開発
ICTを利用した新しい授業形態と教材を提案し、インストラクショナル・デザインの手法を用いて改善を図ります。
2. インストラクショナル・デザイン=FD活動
学内の教員がインストラクショナル・デザインに広く関与することで、自らの授業実践の向上を図ります。
目的と背景
近年、他領域の人々と協働して質の高い生産活動を進め、組織の一員として自他のあり方(役割)を認識し、組織の健全な運営と発展に寄与する能力が技術者に求められています。また、技術者教育認定システムであるABET (Accreditation Board for Engineering and Technology)・JABEE(日本技術者教育認定機構)でも、問題解決能力・自己学習能力・コミュニケーション能力・マネジメント能力といった幅広い周辺領域的能力が謳われ、これらの知識・能力を有する技術系人材への社会的ニーズはきわめて高くなっています。我々はこの周辺知識に裏付けられた能力を「職業人の実践対応力」と呼び、「高い専門性と多角的な視野をもち21世紀の解決すべき問題を追求し続ける人間性豊かな人材」の育成(図1)を目指してきました。本取組は実践対応力を備えた高度技術者育成を大学の学士課程において確立すべく、浜松キャンパス(情報学部・工学部)の技術系学生を対象として、十分な専門知識に加え、それを社会で活用する際に必要な周辺知識を有する人材を育成する教育カリキュラムを開発していきます。
また、この取組を全学における授業改善活動(FD活動)として位置づけ、産学連携による学外の高度技術者の協力のもと、多くの教員が協働し、魅力的な教材の開発、授業実践、そして授業改善活動をおこなうことにより、それぞれの資質と教育への動機付けの向上を目指します。
また、インストラクショナル・デザインの手法に基づいた学習教材の開発と本学での運用モデルをパッケージ化することにより、他の高等教育機関での技術者育成に資することも期待されます。
図1.本取組の目指す人材像
活動計画
活動カリキュラム
本カリキュラムは3分野の8科目(短期科目5科目, フル科目3科目)と、科目履修前に視聴するプレセミナーによって構成されます(図2)。これらはJABEE、ABETで期待されている周辺的知識・能力を広くカバーし、技術系の幅広い職種で必須となる内容を含んでいます(表1)。
就学の初期段階に専門技術以外の周辺知識の習得の重要性を認識する機会を与えるために、1年次前期に開講する「新入生セミナー」において学外著名人の講演をもとにした導入授業(プレセミナー)を提供し、指導教員のもと小集団でその後の履修科目のコーディネートを行ない、2年次以降に周辺知識を習得するための授業科目を複数開講します。
1~2年生の期間は、新入生セミナークラスの指導教員が本取組で開発する電子教材を利用した対面式の定期的なセミナーを実施し、それ以降は研究室配属後の研究指導教員のもとでさらにインテンシブなキャリア形成の支援にあたります。
図2.本取組での履修モデル
表1.JABEEならびにABETにおける技術者教育認定基準と本取組で開発・実施する科目 キャリアプランとの対応
授業開発
本取組で開発する各科目は、学内外の専門家による知識リソース(電子教材)と本学教員による具体的な教授・学習活動の計画書のセットとしてパッケージ化されます。
講義を担当する教員およびティーチングアシスタントは講演内容の解説、あるいは受講者が協働でその内容を理解しようとする活動の支援者として講義に携わります。
◆インストラクショナル・デザインの採用 これまで大学講義は人間の学習に関する基礎的な知見に準拠してデザインされることは稀であり、講義担当者の思い思いの考え方で行われてきました。本取組では、インストラクショナル・デザインという授業改善の手法を導入し、授業実践自体を分析的に検討し、その教育効果を高めていく活動を展開します。教授学的知識の専門家をはじめとするインストラクショナル・デザイン・チームを大学教育センターに位置づけ、対象となる講義を担当する内容の専門家としての著名学外講師、本学の科目担当教員とともに、協働で授業実践を計画し分析して次回の内容の向上を目指します。
◆知識を集約させ、共有し、さらに向上させるためのICT活用 本取組ではLMS (Learning Management System) を利用します。しかしそれは一方向的な情報の流通ではなく、受講生同士の相互作用を活性化し問題の恊働的解決を促進するものです。また、「物理的・時間的」制約を超えたコミュニケーションの方法の確保だけにとどまらず、そこで話し合われる内容・まとめられたレポートをその後の学習の教材として受講生自らが再利用する「メタ認知」的な活動を支援します。これによって、自らの学習活動の理解の進展を確認しながら学習する内容の必要性を高め、受講生の学習の動機付けを維持することを可能にします。
◆小集団の協働問題解決活動を中心とした学習 各科目では、一貫した「小集団」における学生の自発的な「問題の協働的解決」を支援する講義を計画しています。これらの講義では、学生は単に著名学外講師の講演を受け身的に聴講するだけでなく、そこで話されている内容の神髄について受講者間で議論し、振り返る活動を繰り返すことで、理解を深めていきます。
FD活動
これまで授業者の資質向上として行われてきた学内のFD活動を、既設の大学教育センター内に新設するインストラクショナル・デザイン・チームを中心に、授業実践の向上を目指して全学的に体制を構築していくFD活動へとシフトし、教員の個性を生かした授業の構成の仕方を検討します。また、学生による授業評価とそのフィードバックだけに頼ってきたFD活動を、全学的に「問題意識を共有して、協働で授業を改善していく」インストラクショナル・デザイン活動として再定義し直すことで、授業の質を科学的に分析し向上させ、それを通した教員の資質と意欲の向上を目指します。