大本 義正
研究概要
意図伝達における認知的プロセスを解明するという科学的な目標と、その成果を人間と自然にインタラクション可能な人工物の実現という形で応用するという実際的な目標の二つを中心的な研究課題としている。特に、人間とのインタラクションを継続し、社会的関係を構築するエージェントをいかにして実現するのかを、実験を通した構成論的なアプローチで取り組んでいる。
画像処理・センサ情報処理を含む行動計測と分析
エージェントのような、多くの要素が複合的に実装されるようなシステムの場合、複数のシステムを統合的に利用したり、あるいは、未だに存在しないシステムを人間が肩代わりできる環境が必要となる。そういった環境として、Immersive Collaborative Interaction Environment (ICIE)を整備している。この環境を制御するプラットフォーム DEAL は、実行場所・動作条件・実行主体が異なるモジュールを統合して利用することができる。このようなインタラクション実験や実証の環境を用いて、人間とエージェントのインタラクションにおける問題や、新たなインタラクションの形を探る研究を行う。
人間とインタラクションを行うエージェントの作成を通じたモデル検証
人間とエージェントがインタラクションを行う際に、単なる役割分担を超えて、適切に協調行動を行い、また、長期的に発展していく関係を構築するために、エージェントの持つべき要素として、「反応性」「社会性」「永続性」「自律性」が必要である。これらの要素を統合的に備え、ある種の人格を備えていると人間に認識されるようなエージェントの実現を目指している。
実験を通した人間の認知活動の分析による人間の内部状態の推定
インタラクションでは、時系列に沿って様々な要素が動的に変化する。また、ほとんどのインタラクションは、実施するたびに異なるプロセスを経て結果にたどり着く。さらに、インタラクションにおける人間の変化は、行動などの目に見えるところに起きるだけではなく、目に見えない心理的な部分にも多くの変化が起きる。このような変化を純粋な観察のみから捉えるのは困難であるため、人間の生理的な反応や脳の活動を計測し、実験中に起きた人間の行動の変化と対応づけることで、一定の客観性を確保した評価を行おうとしている。
教員/研究室の独自ページ
ブラックボードモデルによるDistributed Elemental Application Linker(DEAL)プラットフォーム
複数のエージェントとのインタラクションを利用することで、エージェントの行動と認識のモデルが理解しやすくなる
人間の内部状態の変化に合わせて、操作アバターの情動表現を行うことで、仮想世界への没入感を高める