竹内 勇剛
研究概要
私たちの研究室では,人の「知」のあり方に着目し,人の認知的コミュニケーションの解析とインタラクション構造の解明および人に親和的な情報システムの開発を目指した研究を行っています.特に「人らしさ」の認知の観点から,自分と他者の分離・融合,エージェンシー認知過程などの認知科学的関心や,コミュニケーションや意図推定のための人工知能アプローチ,アクティブラーニング環境における学修者の意欲向上などの関心があります.
他者認知のための原初的相互行為のモデル化
『HAI(Human-Agent Interaction)研究』の一環として,私たちが他者の存在に気付き,その者が自分にとって有意味な存在であると認知され,インタラクションが開始されるまでの認知過程とそれに伴う身体的な相互行為の関係を分析し,モデル化しています.この研究によって,たとえばロボットなどの人工物がペットのように自然なパートナーのように感じられるような関係とインタラクションをデザインできるようになります.
エージェンシー認知と意図の推定
人工物や無生物,現象に対して人間がそれに対して一種の「人らしさ」を感じて対人的な反応をしてしまう人の認知過程と,それに伴って生じる対象に想定された「心」の状態を人はどのような手掛かりからどのように構成するのかを実験を通して解明し,モデル化する研究です.この研究によって,マニュアルなどなくても簡単なコミュニケーションや視線のやりとりを介して意思疎通ができる人工物などが作れるようになります.
承認欲求に基づくアクティブラーニングの促進
一般に学習環境では教師ー生徒という関係の中で行われますが,アクティブラーニングでは生徒間のインタラクションが重視されます.しかしそれは簡単なことではなく,しばしば生徒間のインタラクションは停滞したり,その中で能動的な人と受動的な人が生まれてしまい本来の目的と合致しない環境になってしまうことがあります.そこで本研究では,生徒間のインタラクションの間にエージェントを介することでこれらの問題を解決し,効果的なアクティブラーニング環境を構築します.
教員/研究室の独自ページ
人が謎の影の意図性を感じるまでの身体行為過程を観察した実験.
ロボットの視線移動によって誘発される人の行動を観察した実験.