増澤 智昭
研究概要
人間の視覚はデジタルカメラなどと比べても優れた性能を持っているが、可視光という非常に狭い範囲の光だけに特化している。人間に知覚できないエネルギーの光や粒子を使って画像を得るセンサーの開発は、医療や工業など社会の様々な分野で必要とされている。増澤研究室では、画像技術をキーワードに、材料工学や電子ビーム工学など幅広いテーマで応用研究を行っている。
過酷環境下でも使用可能なイメージセンサーの開発
原子炉や宇宙などの特殊な環境では、放射線や高温などのために通常の半導体センサーは動作しない場合が多い。このような過酷な動作条件に耐えられるセンサーを開発するため、電子ビームを用いた真空管型イメージセンサーや、ワイドバンドギャップ半導体を用いた固体型イメージセンサーの開発をおこなっている。
放射線イメージングのためのセンサーの高性能化
X線やガンマ線、中性子線などの放射線を用いたイメージセンサーは、医療や工業分野で広く応用されている。放射線は可視光と異なる原理で検出されるため、センサー開発には放射線検出に適した材料を選択する必要がある。本テーマでは、青木研究室と共同で放射線検出器のための材料評価やセンサーの性能向上を目指した研究をおこなっている。
電子ビームを用いた新規デバイスの開発
近年注目を集めているテラヘルツ光は、可視光と電波の両方の特徴を持った光で、放射線被曝のない透過画像や、有機分子の種類を見分ける分子イメージングなど、様々な応用が期待されている。現在はテラヘルツ光を発生させるのに大規模な装置が必要であるが、本テーマではパルス状電子ビームを用いて簡単な装置でテラヘルツ光を発生させる新しいデバイスの開発を目指す。
電子ビームを用いた真空管型イメージセンサーの構造
真空管型イメージセンサーで撮影したテストパターン
電子ビーム源開発のため作成されたダイヤモンド微粒子