秋元 菜摘
研究概要
都市地理学を基盤として,アクセシビリティや生活環境評価などについて研究しています.これまでは,全国の都市政策で導入されつつあるコンパクトシティについて,モデルや施策の有効性を検討してきました.これまで多様な都市モデルが提案されていますが,近年では多極ネットワーク型コンパクトシティとして統合されており,実現に際しての課題や効果については定量的・定性的な分析が求められています.分析手法としては,地理情報システム(GIS)による空間解析・シミュレーションや実地調査(地域観察やヒアリング等)を用いています.現在は,より高度情報社会にアプローチできるようスマートシティ(SC)を軸に共同研究なども進めています.
歩行環境の評価
筑波研究学園都市の中心部において,歩行に関するデータを現地で収集し,多変量解析を用いて歩行環境の評価を試みた結果です.歩行環境の構成要素に影響を与えると考えられる3つの因子を析出しました.今後はスマートシティ化による環境保全/モニタリングなどについても共同研究などを進められるよう準備しています.
コンパクトシティの有効性
富山市のコンパクトシティ政策を事例として,公共交通の改善や人口移住の推進によって生活関連施設へのアクセシビリティがどの様に変化するかをシミュレーション分析した結果です.現在は高度情報社会におけるIoT/ICT/DXなども含め,スマートシティとの接合について研究を進めています.
研究室を志望される方へ
空間データを利用した分析や環境・公共的な視点からの課題解決に関心のある方に来ていただけると,一緒に研究を高め合ってゆけると考えています.本研究室では,客観的な分析・調査の技能だけでなく,事象を社会背景や主観的状況の中でも理解しようとする真摯な姿勢が求められます.そして,それらは日常の自身の振舞い方にも現れていなければなりません(もしくは,そのために研鑽しましょう).
<主な卒業研究タイトル>
2019年度:
磐田市デマンド型乗合タクシーの運行エリア再検討 ― 生活関連施設へのアクセシビリティに関するGIS分析
位置情報取得による違法駐輪の空間分布の解明と適切な駐輪スペースの特定 ― 浜松駅周辺の放置規制区域を事例として
浜松市の創造都市とクリエイティブ・クラスの空間的集積 ― 先端技術と音楽を活用したまちづくりに向けて
2022年度:
浜名湖弁天島エリアの観光とスマートシティ化に向けた課題
浜名湖周辺におけるエコツーリズムの可能性―地理的特性とGIS分析から
地域文化を活用したデジタルスタンプラリーによる浜名湖弁天島の観光支援
中山間地域における避難施設の再考-浜松市天竜区における道路ネットワーク分析
路面性状の測定と地理空間データの利活用―GNSS・加速度センサ・3D点群データの併用
※研究室での共同研究が基本です.現在は,都市・GIS分析,浜名湖(環境・観光),防災などが共通テーマとなっています.
教員/研究室の独自ページ
◆ まち歩きマップ
◇ 浜名湖弁天島 PR ver.(観光防災WebGIS 試作版)
https://webgis013.z5.web.core.windows.net/
*内容は現在も編集中ですので,ご了承ください.
アンケートにご協力いただけると助かります.
https://forms.gle/y2JPNiVa1A5XRQAX8
◇ 弁天島スタンプラリー(地域文化×ゲーム 試作版)
https://digitalstamprally.z7.web.core.windows.net/
*Firefoxで位置情報・ポップアップONにて利用可(一部エラーあり).
アンケートにご協力いただけると幸いです.
https://forms.gle/QYrXTdX5wZAjRSuF8
※ 舞阪観光協会・NPO浜名湖フォーラム等にご協力いただきました
(写真・内容は関係者等の利用許諾を得ています).本アプリを
利用した場合,全ての責任を利用者本人に帰すことを承諾したことと
させていただきます(必ず安全な場所で立ち止まってご利用ください).
また,無償・試作版のため,個人で楽しむことに留めてください.
◆ 浜松キャンパス・テクノフェスタ2021 Online
「GISと都市デザイン:スマートシティと交通」(研究展示)
https://sites.google.com/view/gilab/techno-festa2021
◆ 研究成果の展示
持続可能なスマートシティ構築に関する実証的研究―情報学ベースの都市・地域デザイン―(2020-2022, 静岡大学情報学部情報学研究連携推進室)
https://www.inf.shizuoka.ac.jp/approach/pdf/science_akimoto_kitani20230426.pdf
市街化を区切るグリーンベルトに位置づけられる緑地が確保されており,その中は歩行者向けの空間として整備されています.近年はグリーンインフラという概念により,未来社会への視点が切り開かれつつあります.
[Aachen, 2012]
都市デザインの一環として,歩行環境や景観にも関心があります.SC化が進んでも,社会が人間のことも大切にするならば,都市デザインには豊かさや癒しの効果も考慮しなくてはなりません.
[Dortmund, 2012]
計画都市では歩車道分離が実施されていますが,実際のアクセシビリティや評価については検討が重ねられています.現在は多くの都市でSC化が構想されていますが,同じように生活や維持管理からの視点からのデザインが求められます.
[Tsukuba, 2008]