近藤 真
研究概要
母語と外国語を比較した場合、「外国語のほうが難しい」と感じる人がほとんどでしょう。これは私たちが外国語に関して母語ほど十分な知識・能力を持っていないからです。それでは、私たちはいったい母語に関してどのような知識を持っているのでしょうか。近藤研究室では母語話者が持つ母語に関する知識とはどのようなものかを研究すると同時に、その知見を情報科学・情報システム等に応用することを目指しています。
文の構造と意味に関する研究
日本語の母語話者であれば誰でも「探偵は犯人は使ったトリックを見破った」という文がおかしいと判断できますが、その理由を説明できる人は多くないでしょう。この単純な例は私たちが母語に関して自覚していない知識を持っていることを示しています。このような私たち無意識のうちに持っている知識のうち、特に文の構造(語と語の結びつき方)に関する知識と、文の構造と意味との関係に関する知識について研究しています。
意味の比較を容易にする意味表現とその応用システムに関する研究
日本語に限らず言語は同じ意味を表す複数の表現(表層)を持ちます。例えば、同じ意味を持つ別の表現を使ったり、1文で表現するか複数の文で分けて表現するかなど、表層の組み合わせは多様です。そういった異なった表層を持つ文の同義性を判定するために適した意味表現を提案しています。また、その意味表現を使った文脈理解が可能な対話システムや、日本語を外国語として学習するための日本語訓練システムを開発しています。
視覚情報と言語の接続に関する研究
私たちは同じものを見ても、それを言語で説明するとなると多種多様な言い方をすることができます。例えば「赤い花」「赤い色の花」「赤い色をした花」はすべて、同一の対象を表すことが可能です。このような、視覚情報から言語表現を生成するために適した意味表現を研究しています。また、その意味表現を使ってカメラから取得した視覚情報から実際にさまざまな言語表現を生成するシステムの開発を進めています。
教員/研究室の独自ページ
「浜松のホテルに泊まりたい」の意味表現
対話システム動作例
日本語学習者のための独学可能なディクトグロス環境