梶原 千里
研究概要
「質がよい」とは,提供する製品,サービスが顧客のニーズと合致していることを指します.私たちが日常的に利用している製品,サービスが安全に機能し,さらに,自分のニーズに見合うモノ,つまり質がよければ,私たちの生活はより豊かに,楽しくなります.
梶原研究室では,企業,医療機関といった外部組織との共同研究を通して,このような質のよい製品,サービスを継続的に創出,提供するためのマネジメント技術,効果的な仕組み,有用な手法・ツールの開発に関する研究を行っています.
感性品質を考慮した製品・サービスの設計
質のよい,魅力的な製品を社会へ提供するために,感性品質を考慮した製品設計に関する研究を行っています.感性品質とは,人間が抱くイメージやフィーリングによって評価される品質です.たとえば,「この車の乗り心地がよい」といったものは,人間の五感によって評価されるものです.このように,人間が製品,サービスを使用したときに抱く印象を評価し,統計解析を用いてその結果を分析して,設計に落とし込むことで,感性品質を考慮した製品,サービスを設計する方法論を検討しています.
質マネジメントシステムの構築
質のよい製品,サービスを提供するために,組織的に業務の質を管理,改善していくための仕組みが「質マネジメントシステム(Quality Management System, QMS)」です.多くの企業では,世界的によく知られているQMSの国際規格であるISO9001の認証を取得しています.本研究室では,各業界に適したQMSのあり方,構築・運用方法,またQMS自体を改善していくために必要となる,不具合情報といった品質情報の収集・分析方法を検討しています.
現在は,医療におけるQMSの構築,推進に力を入れています.病院では,安全な医療を提供することが求められています.病院との共同研究を通して,製造業で発展してきたQMSの考え方を,医療界へ効果的に導入する方法論を研究しています.
災害時医療継続マネジメント
自然災害の発生確率が高い日本では,災害時の事業継続性の向上が喫緊の課題です.特に,多数傷病者が発生するような大災害時に医療が提供されなければ,周辺地域に多大な影響を及ぼします.災害時における医療の継続性を確保し,安全・安心な社会の実現を目指して,病院,自治体といった関連組織が連携しあい,地域単位で災害レジリエンスを高めるためのマネジメントシステムの構築に関する研究に取り組んでいます.特に,このシステムを導入・推進するために関連組織職員へ行うべき教育・訓練の設計,その教材(e-learningを含む)の開発,評価システムの構築を研究しています.
教員/研究室の独自ページ
質・安全を確保するために病院スタッフへ教育すべき内容の一覧表
地域初動災害医療で必要となる機能(24~72時間後)