藤岡 伸明
研究概要
情報技術の発展や経済のグローバル化によって、人々の働き方や働く場がどのように変化しているかを考える研究室です。機械や情報機器は人間の仕事を助ける一方で、不安定雇用や失業を増加させることもあります。国境という壁が低くなることは多くの人に国外で活躍する機会を提供する一方で、地方出身者が地元で働き続ける機会を奪うこともあります。労働をめぐるこのような錯綜状況を、主に社会学の理論と方法を用いて解きほぐしていくことが藤岡研究室の目標です。
若年ノンエリート層の海外就業
経済のグローバル化に伴って、海外で働く日本人が増加しています。「海外で働く」というと、大企業の海外駐在員をイメージするかもしれませんが、実際にはそのようなエリートだけでなく、中小企業駐在員、現地採用者、板前・料理人、日本語教師、コールセンターのオペレーター、飲食店・スーパーマーケット等の店員といった非エリート的な人々(特に若者)が急速に増加している国・地域もあります。私は、日本の労働研究や移民研究で見過ごされがちなこれらの若年ノンエリート層に注目し、彼ら/彼女らの海外就業実態を調査しています。この調査を通じて、日本の若年ノンエリート層が経済のグローバル化にどのように巻き込まれ、翻弄され、どのように自らのキャリアや人生を切り拓こうとしているかを、マクロな構造的視点とミクロな文化的視点の両面から明らかにしようと試みています。
移民・外国人労働者受入システムの国際比較
1980年代以降、日本は外国人労働者を多数受け入れてきました。しかしこの間に、外国から来た人々を日本人と同等に処遇し、彼ら/彼女ら(とその家族)を社会のメンバーとして受け入れる仕組みがきちんと整備されてきたわけではありません。こうした課題に取り組むために、諸外国の移民・外国人労働者受入システム、とりわけオーストラリアの多文化主義について調査し、日本の状況と比較することによって、問題解決のヒントを探っています。
人間らしい働き方の探究
労働に関するニュースを調べると、ブラック企業、ブラックバイト、長時間労働、過労死・過労自殺、職場のセクハラ・パワハラなど、憂鬱になる言葉ばかりが並んでいます。なぜ働くことはこれほど辛いものになってしまったのか。どうすれば働く人が報われる社会になるのか。これらの問題について多様な視点から考察していきます。
教員/研究室の独自ページ
拙著の表紙
オーストラリア調査中の一コマ