望月 美希
研究概要
地域社会学、農村社会学、環境社会学、災害研究をベースとして、開発や公共事業と、人々の生活、日常の営みの関係について研究をしています。「現場のできごとから社会問題を考える」というアプローチを軸に、対象とする地域社会に自らも身を置いて、フィールドワークやインタビュー、参与観察といった質的調査を行っています。これまでの主な研究としては、東日本大震災と復興について、宮城県の津波被災地でのフィールドワークを行ってきました。
震災復興と生きがいの社会学-東日本大震災と〈生〉の復興
「被災者にとっての復興とは何か」という問いについて、被災者の「生きがい」の喪失と取り戻しという視点から、研究をしています。東日本大震災後の被災地では、震災による被害と復興政策の影響から、震災前後で被災した人々の生活は大きく変化しました。しかし、震災前までの暮らしにあった日々の営みにこそ「生きがい」は内在しており、住宅や道路といったハード面の復興が進んだとしても、そうしたものを取り戻さなければ、人々の「生活(life)」の復興とは言えません。
この研究では、震災後の人々の生活の在り方、人々の〈生〉を支え合う地域社会の状況について、津波被害を受けた宮城県沿岸部を中心に考察しています。
「定住なき避難」と生活の共同の再編―福島第一原発事故による長期避難者を中心に
現在、福島第一原発事故避難指示区域の解除が進んでいますが、今もふるさとを離れ、避難生活を継続する避難者も少なくありません。長期的かつ福島県内外を含めた広域-分散避難が続く中、避難者は生活上どのような課題を抱えているのでしょうか。また、震災前のコミュニティや地域から離れて生活するなかで、生活上の課題に対処するために、どのような関係性を築いているのでしょうか。
この研究では、「帰る/帰らない」の判断を保留する長期避難者の生活問題を支え合う関係性に関して、当事者/支援者双方の状況を明らかにし、「定住なき避難」における共同性の構築について、東京首都圏への避難者とその支援活動に着目し、考察しています。
郊外開発と都市農業
日本の都市は高度経済成長期以降、都市部への人口集中、そして 都市圏の拡張として郊外開発がなされてきました。一方、東京をはじめとする大都市の周辺は、これまで農村地域として、人々が暮らしてきた空間でもあります。現代においても都市部とその周辺地域の住宅需要は依然として高く、都市農地/緑地の減少、都市農業の衰退が見られます。
この研究では、都市における農業者はどのような営農戦略を立てているのか、市民や行政は都市生活と農業の共存・共生についてどのような試みをしているのか、東京都市圏を主なフィールドとして考察しています。
教員/研究室の独自ページ
人々の日々の小さな営みが震災復興においてどのような意味を持つのか、「生きがい」という視点から研究しています。
住宅開発が進む郊外都市において「農業」や「農地」が持つ意味や農地を守るための人々の試みについて、東京多摩地域を主なフィールドとして研究しています。