Faculty / Laboratory 教員・研究室

特任教員 伊藤 賢特任助教

専門分野 ナース・スケジューリング、経営工学、オペレーションズリサーチ、情報セキュリティマネジメント
主な担当科目

研究概要

看護現場において、「勤務表」は、看護師の1か月の生活の命運を握る「看護師のベストセラー」とも呼ばれています 。勤務表が公開されると、看護師が真っ先に駆け寄り、自身の希望休の反映状況や夜勤のペア、リーダー業務の有無を確認し、その内容に一喜一憂します 。この一喜一憂は、単なる感情の動きではなく、看護師個人の「生活の質」に直結する極めて切実なものです 。一方で、病棟には24時間体制で適切な看護サービスを提供し続ける社会的責任があり、勤務表作成においては「看護の質」を担保することも不可欠です 。この「生活の質」と「看護の質」という二つの重要な要素を両立させながら、複雑な制約の中で計画を立てることは、病棟の看護師長(マネージャ)にとって、心身ともに大きな負担を伴う業務となっています 。本研究では、現場のマネージャが抱える負担の軽減をしつつ質の高い勤務表の作成方法を模索しています。

ナース・スケジューリングという研究分野

看護師の勤務表作成は、ナース・スケジューリング問題という分野になるほど盛んに研究されています。ただし、多くの場合「作成が難しい勤務表」全般を指し、主に最適化手法や生成アルゴリズム開発に焦点が当てられています。他分野の勤務表を扱う研究も多く、研究成果は広く社会貢献している看護現場に限定されていないという特徴があります。また、主な研究成果である自動生成を用いた勤務表の作成を支援するソフトウェア数多く存在しています。しかしながら、これらはマネージャの期待に十分応えきれているわけではなく、せっかく導入しても、生成機能は使用せず、入力および編集用の勤務表エディタとして利用されるにとどまる場合が多いです。この傾向は、日本の看護現場でよく見られます。また、この問題は20年以上前から指摘されていますが,いまだに根本的な解決はしていません。

ソフトウェアの「支援のあり方」の検討

看護師の勤務表作成は、ソフトウェアを用いてワンクリックで「自動生成」すれば解決するわけではありません。現場には、数値化しにくい暗黙のルールや、その時々の人間関係、家庭の事情といった複雑な「条件」が絡み合っていて、それらをうまく取り込み生成をすることは難しいと考えています。本研究では、ソフトウェアの役割を「人間の代わりに作業するもの」とは考えていません。むしろ、作成者の「判断や思考をサポートするパートナー」としての「支援のあり方」を常に考えています。パートナーとする方法の一つとして、マネージャが作成した勤務表を「定量評価」をすることを考えています。例えば、勤務の並びは?休みの感覚は?不可能な勤務は?などです。

定量評価方法の模索

 定量評価の中には、定量化がしにくいものがあります。たとえば「チーム評価」や「暗黙知」がこれに当たります。これらは、マネージャの主観に頼る部分が大半を占めます。主観を定量化するために、以下のような試みをしています。チーム評価に評価は、社会ネットワークを参考に、多人数のチームの評価は難しいがペア評価はできるという前提に立ち、「ペア評価」→「グラフ(ネットワーク)の作成」→「グラフの評価」をし、定量化を試みています。また、暗黙知はマネージャが作成した勤務表に潜む「隠れた条件」をデータサイエンスの力を借りて条件化を試みています。定量評価方法の模索は、マネージャに勤務表の良否を伝えるだけでなく、勤務表作成のための新人マネージャへの教育、将来的にはAIを用いた勤務表作成の支援にもつながると考えています。

伊藤 賢特任助教

専門分野

ナース・スケジューリング、経営工学、オペレーションズリサーチ、情報セキュリティマネジメント

主な担当科目

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